一般皮膚科とは
- 皮膚に関する症状や病気について保険診療にて幅広く行っていく診療科になります。皮膚に湿疹やブツブツ、赤く腫れている部位がある、虫に刺された、たこやいぼができた、やけどを負ってしまった、水虫、日焼け、乾燥肌(ドライスキン)に悩んでいるなど、何らかの皮膚トラブルや症状、疾患について診ていきますが、爪や髪も皮膚の一部になりますので、巻き爪や爪割れ、円形脱毛症なども診療対象となります。
- 皮膚は昔から全身を映す鏡と言われています。そして、その言葉を裏付けるかのように栄養不足や何らかの全身疾患による一症状によって皮膚症状(炎症、かゆみ、肌荒れ など)が現れることもあります。それでも大半は、皮膚そのものが原因の皮膚疾患のケースが多いわけですが、単なる湿疹やかぶれだと思って来院された患者様が、何らかの内臓疾患を罹患していたということも少なくありません。
- そのため、あらゆる可能性を排除することなく診察を行い、必要な場合は血液・一般検査もするなどして総合的に診断をつけていきます。その結果、入院加療、高度医療機器による検査や治療が必要などと医師が判断した場合は、当院の連携先でもある高次医療機関などを紹介いたします。
参考リンク
当診療科の対象となる主な症状・疾患(例)
- 湿疹
- かぶれ
- かゆみ
- アトピー性皮膚炎
- じんましん
- 乾燥肌
- にきび
- 水虫(足白癬)
- 虫刺され
- ほくろ
- いぼ
- たこ、うおのめ
- 水いぼ
- おでき
- 巻き爪(陥入爪)
- やけど
- 帯状疱疹
- 円形脱毛症 など
一般皮膚科でよくみられる疾患
にきび
- にきびは、皮脂の過剰な分泌によって引き起こされる毛穴の詰まりが引き金となって発症します。なかでも皮脂の分泌が多いとされる顔、胸、背中などでみられ、活発化しやすい13~20歳の世代によく見受けられます。
- 毛穴に皮脂が詰まるようになると、やがて面皰という状態になるのですが、これを栄養源とするアクネ菌(にきびの元でにきび菌とも呼ばれる)が増殖します。これによって、皮膚は隆起して赤くなって、膿の塊(膿疱)、色素沈着がみられるようになるのですが、これがにきびです。この状態を繰り返すようになると、にきびの治療が済んだとしても袋状のしこりや痕が残ることもあるので、スキンケアは大切です。
- なお発症原因については、アクネ菌の繁殖以外にも、ホルモンの乱れ、ストレス、ドライスキン、毛穴の汚れ、睡眠不足がきっかけとなることもあります。
治療について
健康保険が適用される治療を中心に行っていきます。具体的には抗菌薬の外用もしくは内服になります。このほか、にきびの状態によっては、針で患部に穴を開けて出口をつくり、毛穴に溜まっている皮脂を押し出していく面皰圧出が行われることもあります。
いぼ
- 主にヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚にできた小さな傷口から侵入し、皮膚細胞に感染することで発生する腫瘤のことを言います。手足の指、手のひらや足の裏、背中などで発症しやすいのですが、肘や膝の外傷がきっかけになることもあります。どの年代でも発症しますが、子どもにできやすく、高齢者は発症しにくいと言われています。
- いぼは発症後まもなくは、平らで小さいものの、時間が経過するにつれて隆起していき、米粒大ほどのサイズもあれば、親指大ほどの大きさになることもあります。表面は凸凹していて角質化しているのも特徴ですが、痛みやかゆみなどの症状はみられません。
- なお先にも述べたようにいぼの原因はHPVなので、爪でいぼを引っ掻くなどしたウイルスが手に付着するなどして、他の部位を触っていぼが増える可能性があるので、できるだけ触らないようにしてください。
治療について
いぼは、これといった症状も出ないのですが、日に日に大きくなっていく、数が増えているという場合は治療対象となります。その際によく行われるのが、液体窒素(-196℃)による凍結療法です。これは患部(いぼ)を凍結させて、かさぶたを作ることでいぼを除去させていくというものです。治療時は痛みが出ます。また1度の通院だけで済むことはなく、1~2週間に1回の間隔で数ヵ月程度通院することになります。
蕁麻疹(じんましん)
- 何の前触れもなく皮膚の一部が赤く腫れあがって、かゆみの症状もみられる発疹がじんましんです(ひどい場合は呼吸困難の症状などが現れることもあります)。ただ数時間経過するとこれらの症状は何事もなかったかのように消えるようになります。これの繰り返しが6週間未満で治まるようであれば急性じんましん、6週間以上続くようであれば慢性じんましんと診断されます。
- 原因ですが、急性の場合はアレルギー性(食物(卵、そば、魚、貝、ナッツ類、果物 など)や薬剤、植物、昆虫 など)や非アレルギー性(日光、汗を掻く刺激、温まると出る、引っ掻き傷から起こる など)が考えられます。また慢性では自己免疫疾患やストレス、疲れなどの影響もありますが、原因が特定できない場合もよくあります(特発性じんましん)。
- じんましんの原因を確定できる検査はありませんが、アレルギー性が疑われるのであれば血液検査や皮膚検査によってある程度判定することはできます。また非アレルギー性の場合は原因と考えられる刺激を与え、その反応を見ることで判定するなどしていきます。
治療について
検査の結果、アレルギー性のじんましんで、その原因(アレルゲン:アレルギーの原因となる物質)が判明した場合はアレルゲンから避けるようにします。なおかゆみの症状がある場合は、じんましんの原因が判明していても、特定できていなかったとしても抗ヒスタミン薬(内服)を使用していきます。外用薬につきましては、効果はそれほどないと言われています。
アトピー性皮膚炎
- 強いかゆみの症状が出る湿疹が発生し、これが良くなったり悪くなったりを長い期間に渡って繰り返している状態をアトピー性皮膚炎と言います(生後半年までなら2ヵ月以上、それ以上は6ヵ月以上)。年齢によって発症部位が異なるのが特徴で小児によく見受けられる疾患でもあるわけですが、生後2ヵ月頃から発症していきます。この場合は、赤みを帯びた湿り気のある湿疹が頭や顔に始まって、胸や腹・背中、手足などに広がるようになります。そして1歳を過ぎると湿疹の箇所は黒ずんでいき、カサカサの乾燥状態となって、発症部位も首回り、肘や膝の関節の内側などに代わっていきます。いずれにしても湿疹は左右対称に発生するようになります。
- 発症の原因については、完全に特定されたわけではありません。ただ、もともとアレルギー素因(アレルギーを引き起こす体質である)がある、皮膚のバリア機能が弱い、家族にアトピー性皮膚炎の患者様がいるなど、体質や遺伝などによって引き起こされるのではないかと考えられています。
- また、これまでアトピー性皮膚炎というのは、思春期を迎える頃には症状が治まるケースが多かったことから小児特有の症状と思われてきました。ただ最近は成人になっても症状が治まらない、成人になってから発症する患者様も増えてきています。そのため、ハウスダストなどのアレルゲン、ストレスや日頃の生活習慣なども発症に影響するのではないかと言われています。なお成人期のアトピーは、主に頭や首、胸、背中など上半身を中心にかゆみの症状が強い湿疹が出るようになります。
治療について
現時点で完治させることは困難ですので、治療の中心は症状を和らげる対症療法となります。具体的には、患者様の症状の程度を確認しながら配合を変えていくステロイド系の外用薬を用いていきます。また、かゆみの症状を強く訴えている場合は、抗アレルギー薬なども使用していきます。またスキンケアも大切ですので、皮膚を常に清潔にしていく、肌の保湿ということも欠かさないようにしてください。